講座・講演会
國學院大學院友会文化講演会
「御蔭年と伊勢参詣」
講師:中西正幸國學院大學神道文化学部教授
日時:平成26年6月22日(日) 15:30~
場所:鶴岡八幡宮 直会殿 (鎌倉市)
入場無料
神奈川県支部(吉田茂穗支部長)では6月22日(日)「院友の集い」にあわせて「公開講演会」を鎌倉市の鶴岡八幡宮において開催した。
この講演会は、平成8年より毎年開催されており、今年は母校より神道文化学部中西正幸教授を講師としてお招きし、会場には100名を超す聴講者が訪れた。
中西先生には「御蔭年と伊勢参詣」と題して、昨年遷御の儀が斎行された第62回式年遷宮の話もまじえながら、遷宮の祭事、そして中世から現代に至るまでの御蔭年の在り様をご講演頂いた。
講演のテーマでもある「御蔭年(おかげどし)」とは、古来より遷宮翌年のことを指し神気高まるお伊勢様に国民が挙って参詣していたことを、中世の『宝永元年遷宮記』などをもとに説明された。近世では松尾芭蕉が元禄2年(1689)の第41回遷宮で「奥の細道」から急いで戻り、「たふとさに皆押しあいぬ御遷宮」と一句詠んだことなども紹介され、聴講者もその賑わいの熱狂的な様を想像しながら聞き入っていた。また、参拝に関する近世の指導書を引用され、伊勢参詣の道中は穢れを避けて細心の注意をはらいつつ旅を続けること、参拝に先立ち禊ぎを行い清らかな服装に改めることなど、参拝の作法・心得についてご紹介頂き、当時の参拝に対する斎戒の意識の高さに聴講者も驚いていた。
そして御蔭年には両陛下の行幸啓を仰ぐ嘉例があり、昭和天皇は昭和29年・49年に、今上天皇は平成6年・26年に挙行されている。この嘉例にともない国民一般の参拝も増えており、昨年(平成25年)の年間参拝者数が1420万人を超えたことは未だ記憶に新しい。最後に中西先生は、この参拝者増加が国民の神宮崇敬の高まりに繋がることを期待したいとして講演の結びとされた。
会場には県内院友のみでならず一般参加者も多く、昨年の遷宮を機に高まる伊勢神宮への関心を寄せつつ、日本人が連綿と繋いできた重儀の大切さに深く共感していた。
事務局 谷口 征司(113神)記